インターフェース技術を用いた既存ゲームコントローラーの拡張

津田塾大学 学芸学部 情報科学科 栗原研究室
栗原 一貴

採択技術名

インターフェース技術を用いた既存ゲームコントローラーの拡張

採択者名

津田塾大学 学芸学部 情報科学科 栗原研究室
栗原 一貴

採択年

2025年

※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

詳細

「栗原式インパクトボタン」は、導電性プラスチックである導電性フィラメントを3Dプリンターで印刷して製作される新しいゲーム用入力インターフェースである。
この技術の大きな特徴は、3Dプリンターによってユーザー一人ひとりの手の形や操作習慣に合わせた最適な任意の形状でゲームコントローラーを作成できることである。また、一つのボタンの形状を工夫することで、複数の場所に押下可能箇所を設けることも可能であり、現在のゲームルール内で高性能な操作性を提供しうると考えられている。
実際、ストリートファイター6の「ドライブインパクト」においては、従来のボタンと比較して平均で約2.9フレーム早く入力できるという実測値も出ている。これらはあくまでフィッツの法則を用いたコントローラーデザインとの合せ技だが、インタフェースの専門家とこの導電性フィラメントの組み合わせにより様々な応用が考えられ、格闘ゲームコントローラーに限定されず、導電性素材を用いた全く新しいゲームコントローラーや、高速・直感的な入力が求められる多様な操作デバイスへの応用が期待される。ユーザーの操作性を科学的に最適化し、カスタマイズ可能なインターフェースを提供することで、以下のような多岐にわたる分野での社会実装に貢献する可能性を秘めている。
•エンターテインメント体験の拡張
•特定のスキルを要する競技におけるパフォーマンス向上
•アクセシビリティの改善(身体拡張の可能性も含む)

社会実装
について

  • 現状でも生産体制とカスタマーサポート体制が確立できれば販売可能である。
  • メーカー(ゲームコントローラーメーカーや玩具メーカーなど)と協業することにより生産・販売が促進できないかと考えている。
  • eスポーツ業界と連携できると技術の応用先を広げられる可能性がある。
  • 構造が簡単なので子ども向けの「君だけのゲームコントローラーを作ろう!」のような教育コンテンツ事業(ワークショップや書籍執筆等)を展開できるかもしれない。
  • 障害者団体と連携することによりアクセシビリティ向上をはかり、多様な人たちがゲームを楽しめるような事業展開ができるかもしれない。

審査講評

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本技術は、導電性プラスチックを用いて3Dプリンターで個別にカスタマイズ可能なゲーム用入力インターフェースを提供するものである。
従来のコントローラーは、ある程度の画一性を持ち、ユーザーがその範囲内で適応することが求められていたが、本技術は、手の形や操作習慣に応じてボタンの形状を自由に設計することができ、個々のユーザーに合わせた完全なカスタマイズを可能にすることで、ユーザーそれぞれにとっての最適な操作性を実現する。従来のゲームインターフェースの概念を根本から変える可能性を秘めている点を高く評価した。
この技術はゲームにとどまらず、さまざまな操作デバイスへの応用が見込まれることから、将来的に幅広い市場で展開されることを期待する。
(梶 直弘 委員/経済産業省 商務・サービスグループ 文化創造産業課長)

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